Claude Code、Codex、Gemini、Cursorの主要4製品について、2026年8月31日から9月4日までに公式発表された更新を整理する。 今週の最大のニュースは最上位モデルの発表が3社で重なったことで、9月1日にAnthropicがClaude Fable 5.1とClaude Mythos 5.1、9月2日にGoogleがGemini 3.8 Flash、9月3日にOpenAIがGPT-6 Astraを出した。 Claude Fable 5.1とGPT-6 Astraは100万トークンあたり入力$10/出力$50で価格が並び、コンテキストもともに100万トークン級である。 Cursorはクラウドエージェントを顧客のネットワーク内で動かす「Self-hosted machines」を公開し、Claude Codeは対象週に5本、Codex CLIは安定版6本をリリースした。
本記事は9月4日10時15分(JST)までに取得できた公式チェンジログ、GitHub Releases、npmレジストリ、製品ブログ、ドキュメント、ステータスページ、および当社宛に届いた各社の公式メールを一次情報として確認した。 日付は原則として各社チェンジログとGitHub Releasesの表記(UTC/PT基準)に従うため、JSTでは翌日になるものがある。 各社が公表した性能値は独立評価ではなく、ベンダー自身の測定値として記載する。
今週の全体像
今週をひとことで言えば、「最上位モデルが3日連続で出て、価格と安全策の線引きが横並びで見えた週」である。
9月1日のClaude Fable 5.1は、入出力の単価をFable 5から据え置いたまま($10/$50)、プロンプトキャッシュの読み出しだけを75%下げて$0.25にした。 9月3日のGPT-6 Astraは同じ$10/$50で、キャッシュ読み出しは$1、コンテキストは105万トークンだが、入力が272Kトークンを超えるとリクエスト全体の単価が上がる。 9月2日のGemini 3.8 Flashは導入価格$0.75/$3.75で、これは12月31日までの時限で、2027年1月1日から$1.50/$7.50に倍増する。 「同じ値札で何が違うか」は、キャッシュの扱いと長文の扱いに集約されている。
3社とも、サイバーセキュリティ能力を理由にモデルの提供形態を分けた点も共通する。 AnthropicはFable 5.1とMythos 5.1を「同一モデルでセーフガードだけが違う」と位置づけてMythos 5.1を信頼済みアクセスプログラムに限定し、OpenAIはAstraがPreparedness Frameworkのサイバー領域で初めてCritical閾値に達したとしつつ概念実証エクスプロイトの作成は拒否させ、GoogleはGemini 3.8 Flash Cyberを政府機関・重要インフラ向けのFairwind Program限定にした。
ツール側の追随は速いが、粒度は揃っていない。
Claude Codeは9月1日の2.1.257で fable エイリアスの指す先をFable 5.1に切り替え(既定モデルにはしていない)、Codex CLIは9月3日の0.153.1でAstraを「既定を変えず、モデルピッカーにも出さない」隠しモデルとして設定可能にし、Antigravity CLIは9月3日の1.1.25でGemini 3.8 Flashをカタログに加えた。
Cursorのモデル表にはFable 5.1とGemini 3.8 Flashが追加されたが、9月4日時点でGPT-6 Astraは載っていない。
Cursorは9月2日にSelf-hosted machinesを公開し、クラウドエージェントのツール実行を顧客のネットワーク内で完結させる経路を正式にした。
Claude Codeの週次上限を50%引き上げていたプロモーションは9月13日で終わる。
Claude Code(Anthropic):Fable 5.1の登場、本体は5本、週次上限のプロモは9/13まで
Claude Fable 5.1/Mythos 5.1(9/1):入出力は据え置き、キャッシュ読み出しだけ75%減
9月1日、AnthropicはClaude Fable 5.1とClaude Mythos 5.1を発表した。 両者は「同じモデルで、セーフガードの水準だけが違う」とされ、Fable 5.1は一般提供、Mythos 5.1はサイバーセキュリティとライフサイエンス向けの信頼済みアクセスプログラム限定である。 提供面はClaude API、Amazon Bedrock、Claude Platform on AWS、Google Cloud、Microsoft Foundryで、コンテキストは100万トークン(既定かつ最大)、最大出力は128Kトークン、adaptive thinkingは常時オンである(Platformリリースノート)。
価格は入力$10/出力$50(100万トークンあたり)でFable 5と同じだが、キャッシュ読み出しが$1から$0.25へ75%下がった。 基準入力価格の0.025倍で、他モデルの0.1倍と比べて異例に低く、キャッシュ書き込みは変更がない。 Anthropicは「典型的なワークロードで約25%、複雑なコーディングや高度にエージェント的なタスクで最大約45%のコスト削減」としているが、これは2026年8月の4週間の実使用を既定effortで計測した推計で、料金表の数字ではない。 キャッシュ読み出しの比率が高い使い方ほど効き、キャッシュを効かせられない設計では恩恵がほぼない。
effortの既定は製品ごとに違い、Claude CodeではHigh、CoworkとClaude.aiではMediumである。 ベンチマークはFable 5.1/Fable 5の順に、Terminal-Bench 4.0が55.8%/42.0%(Mythos 5.1は60.9%)、CursorBench 3.2.0が73.4%/70.5%、OSWorld 2.0(strict)が41.7%/36.1%とされ、本番のセーフガードを有効にした状態で評価され、セーフガードが介入したタスクはゼロ点として扱われている。 サイバー領域ではセーフガードの誤検知が60%減り、脆弱性の「発見」には使えるが「エクスプロイト開発」には使えない、という線引きが明文化された。 Fable 5と同様に30日間のデータ保持が必須で、Anthropicが明示的に許可しない限りゼロデータ保持(ZDR)では使えない。
API側の破壊的変更3点とベータ3点
Fable 5.1の変更点ドキュメントには、移行時に踏みやすい変更が3つある。
ひとつめは、強制ツール利用の tool_choice で any と tool が非対応になり400エラーを返すこと(auto と none は従来どおり)。
ふたつめは、thinkingブロックが「生成したモデルかそれ以降のモデル」でしか読めなくなったことで、Fable 5.1はOpus 5やFable 5のthinkingを読めるが、逆方向はAPI側で破棄される。
みっつめは、過去ターン(system、tools、過去メッセージ)を書き換えるとthinkingブロックが無効化される検査で、2026年8月31日以降に作成された新規アカウントでは強制、それ以前のアカウントは記録のみ(ヘッダで挙動を選べる)である。
Claude Code、claude.ai、Managed Agents、Agent SDKはプレフィックスを保つので自動的に問題ないとされる。
ベータでは、会話途中でeffortを変えてもプロンプトキャッシュを維持する仕組み(Fable 5.1、Mythos 5.1、Opus 5)、当該ターンだけ有効で以降はトークンコストゼロで履歴に残るsystemメッセージ(clear_at: "next_user_message")、ツール呼び出しの合間の短い進捗をテキストで受け取る thinking.display: "updates" が入った。
本体は2.1.252〜2.1.260の5本(欠番4つ)、Fable 5.1対応は2.1.257
Claude Codeは前号締め後の8月28日(UTC)に2.1.251、対象週に2.1.252(8/31)、2.1.257(9/1)、2.1.258(9/1)、2.1.259(9/2)、2.1.260(9/3)の5本をリリースした(公式changelog、GitHub Releases)。
2.1.253〜2.1.256は公開リリースが存在しないが、ドキュメントは「Fable 5.1は2.1.255以降が必要」、2.1.258は「2.1.255で入ったリグレッションの修正」と書いており、2.1.255は何らかの形で配布されている。
npmの latest は2.1.260、stable は2.1.236(8/19版)のままで、stableチャネルにはFable 5.1対応がまだ届いていない。
2.1.251(8/28、JSTでは29日早朝)はモデル切替を止めたり注釈したりできる PreModelSwitch/PostModelSwitch フック、/cost のセッション別プロンプトキャッシュ行、シート型Enterpriseの既定モデルをOpus 5へ揃える変更を含み、権限チェック後に差し替えられたシンボリックリンクを辿って作業ディレクトリ外を読み書きできた問題を直した。
CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL は「すべてを上書き」から「既定値」に意味が変わった。
2.1.252(8/31)はバグ修正のみ4件である。
2.1.257(9/1)はFable 5.1対応の本体で、claude-fable-5-1 を「既定のFableモデル」にした。
ここでいう既定は「fable エイリアスの指す先がFable 5から5.1に切り替わった」の意で、モデル設定ドキュメントは「Fableはどのプランでもプロバイダでもアカウントの既定モデルにはならない」と明記している。
使うには /model fable か claude --model fable で明示選択し、プランやシート階層によっては利用がusage creditsに課金される。
対話セッションでは課金前に同意プロンプトが出るが、-p とAgent SDKの非対話モードでは同意を聞かずに課金される。
同版は自動モードにクラウドのメタデータ資格情報取得やegress回避を自動承認しない「Containment Escape」ルール、作業ディレクトリ外の初回読み取り前に一度だけ確認するプロンプト(permissions.blockReadsOutsideWorkingDirectories で遮断も可)、サブエージェントのモデルを強制する CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL_FORCE を追加した。
2.1.258(9/1)は2.1.255由来のmacOS 12(Monterey)起動不能を直す2行だけのリリースである。
2.1.259(9/2)は組織向けが中心で、全ユーザーにHTTP/SSEのMCPサーバーを配布する管理設定 managedMcpServers と、無人ヘッドレス向けの --permission-prompts none(プロンプトが出る操作は自動拒否、権限モード自体は動き続ける)が入り、複数セッションが ~/.claude.json を上書きし合う問題が直った。
一方で allowedMcpServers の意味が「ユーザーが追加したサーバーだけを対象」に変わり、これまで許可リストで弾かれていた managed-mcp.json のサーバーはアップグレードするだけでロードされる(止めるには deniedMcpServers)。
2.1.260(9/3)はフルスクリーンモードで未コミット差分を出す /diff パネルと、/cost とステータスラインにキャッシュミスの推定原因(ツール定義やsystem promptの変更、TTL超過など)を表示する機能を加えた。
修正はセキュリティ寄りで、括弧を含むパスの権限ルールが無効扱いされて「読み取り専用」フォルダが書き込み可能だった問題、zshの REPORTTIME などへの代入にコマンド置換を隠す手口が自動承認されていた問題が直った。
Fable 5.1関連では、/model ピッカーに出ない問題と、ツール結果後の文脈がキャッシュされず毎ターン非キャッシュ入力として再送されていた問題を修正しており、2.1.257〜2.1.259でFable 5.1を使っていた場合は本来のキャッシュ価格の恩恵を取り逃していた可能性がある。
2.1.259の「Read() 拒否ルールをBash引数にも適用する」変更は、Read(./**/build/**) 配下で npm run build が全モードで拒否されたため差し戻された。
週次上限:50%プロモは9/13で終了、「25%恒久引き上げ」はXでの告知
公式サポート記事によれば、Claude Codeの週次上限を50%引き上げる期間限定プロモーションは5月13日から9月13日までで、対象はPro、Max、Team、旧来のシート型Enterpriseである(Freeと消費型Enterpriseは対象外)。 CLI、IDE拡張、デスクトップ、Webのすべてに適用され、5時間の利用上限は変わらず、9月13日を過ぎると標準の上限に戻る。
8月29日付の複数の報道は、@ClaudeDevsのX投稿を出典として「9月14日から標準の週次上限を恒久的に25%引き上げる」「現在の水準と比べると17%の減少になる」というAnthropicの説明を伝えている(当初の投稿が削除され、17%減を明記した投稿に差し替えられたとされる)。
本記事ではX投稿の本文を直接取得できておらず、一次情報で確認できたのは上記サポート記事の「9月13日で50%上乗せが終わる」までである。
基準を100とすると現在150、9月14日以降が125という計算になり、いま上限に張り付いている使い方は9月14日以降に約17%縮む前提で見ておくのが安全である。
8月29日付の公式ニュースレターは、デスクトップアプリの /resume でターミナルのセッションを引き継げること、スマートフォンから手元のマシンでセッションを開始できることを案内している。
EFS(9/1)とアラインメント報告(8/31)
9月1日、AnthropicはEnterprise Frontier Safeguards(EFS)を発表した。 ZDR相当のプライバシーと悪用検知の監視を両立させる仕組みで、データはAnthropicではなく顧客が管理するクラウドに保存され、検知シグナルは顧客側に直接届く。 100社超の顧客とAWS、Google Cloud、Microsoft Azureとの共同設計で、提供は「今秋後半から段階的」、対象面にはClaude Codeも含まれ、EFSが整うまでの経過措置として対象顧客はFable 5とFable 5.1をZDRで使える。 同記事は30日保持について「明示的な許可なしに企業データで学習したことはないし今後もない」と述べている。
8月31日にはアラインメントとセキュリティの取り組みが公開された。 7月30日に報告した3件のインシデントと、8月4日にUK AI Security Instituteが報告したClaude Mythos 5のインシデントについて、詳細分析中でMETRによる独立レビューを計画しているという内容である。 原因は「オペレーショナルセキュリティの失敗」と2つのアラインメント上の問題と位置づけ、事前公開モデルの外部サイバー評価を一時停止し、サンドボックス脱出の試みをツール呼び出しの実行前にブロックして人間に通知する分類器を導入した。 いずれもセーフガードを意図的に外した評価環境での事象で、本番のClaudeで起きたものではない。
ステータス:8件
公式ステータスの対象週の記録は8件である。 8月31日はclaude.aiとClaude Codeの性能劣化(16:55〜19:16 UTC、Claude Code on the webとCode Reviewに影響)とclaude.aiチャットのエラー、9月1日はClaude for Microsoft 365とplatform.claude.com/docs.claude.com(コア推論とAPIには影響なし)。 9月1日〜2日にはusage creditsの購入反映遅延で、残高ゼロのユーザーが購入後も「credit balance is too low」を受ける事象があった(12:10〜21:35 UTC)。 9月2日と3日にSonnet 5のエラー率上昇が各1件、9月3日にはMythos/Fable 5.1、Mythos/Fable 5、Opus 5、Opus 4.8、Opus 4.6を含む複数モデルで長時間のエラー率上昇があり、16:16 UTCに収束した。
Codex(OpenAI):GPT-6 Astra、安定版6本、GPT-5.4は予定どおり終了
GPT-6 Astra(9/3):$10/$50、105万トークン、272Kを超えると倍率課金
9月3日、OpenAIはGPT-6 Astraを発表し、APIチェンジログでは「最も高性能で、最難関のエンドツーエンド作業向け」と位置づけた。
モデルページによれば、コンテキストは1,050,000トークン(最大入力922,000、最大出力128,000)、知識カットオフは2026年4月30日である。
標準価格は入力$10/出力$50、キャッシュ入力$1、キャッシュ書き込み$12.5で、入力が272Kトークンを超えるとリクエスト全体が入力・キャッシュ2倍、出力1.5倍($20/$75)になる。
BatchとFlexは標準の50%、Fastモードは「標準の最大2.5倍速で価格2倍」で、EUデータレジデンシー環境ではFastが使えない(価格ページ)。
none のreasoning effortと temperature/top_p/logprobs は非対応で、ツール呼び出しにはResponses APIが必須である。
Responses APIには長時間作業向けに非同期ツール呼び出し、ターン途中のステアリング、会話途中のreasoning effort変更が加わり、対応リクエストでは「ミスアライメント監視」が非同期に走って安全アラートの発火や会話停止につながる。 展開は「まずTrusted Access Programのエンタープライズ、数日以内にAPIとPlus/Pro/Business/Enterprise」で、Enterpriseは既定オフで管理者が有効化する。 ベンチマークはGPT-5.6 Solとの比較で、Terminal-Bench 4.0が57.7%(Solは37.3%)、DeepSWE v1.1が74.1%(72.7%)とされる。 AstraはPreparedness Frameworkのサイバーセキュリティで初めてCritical閾値に達したとされ、今回の版は脆弱性の概念実証エクスプロイト作成など高度なサイバー要求を拒否する。
Codex側:CLIは「隠しモデル」として対応、Codex cloudは未提供、クレジット消費はSolの2.5倍
Codex CLIは同日の0.153.1で「既定モデルを変えず、モデルピッカーにも出さずに」Astraを設定できるようにし、0.153.2でFast tierの説明文を「1.5x」から「2x speed, increased usage」に訂正した(表示のみの変更)。
同梱のモデルカタログでは gpt-6-astra は visibility = "hide" で、0.153.xに上げただけではAstraは使われない。
公式のモデル表では、AstraはChatGPTデスクトップ/Web、Codex CLI、Codex IDE拡張、ChatGPTクレジット、APIで利用可だが、Codex cloudのみ未提供である。 Codexのクレジット換算はAstraが入力250/キャッシュ入力25/出力1,250クレジット(100万トークンあたり)で、GPT-5.6 Sol(100/10/500)の2.5倍、Codex側のFastモードは「利用可能な環境で標準の2.5倍のクレジット消費」とされる(速度設定)。 プラン別の目安メッセージ数はAstraがPlus 3〜30、Pro 20x 60〜600で、Solの目安(Plus 10〜100)の約3分の1である。 「速度2.5倍・API価格2倍・Codexクレジット2.5倍・CLI表示は2x」と4つの数字が併存しており、どの層の話かを分けて読む必要がある。
Astraの発表は、Codexが「コンテキストウィンドウをまたいでノートを保持し、過去の文脈を検索可能にする」実験機能を config.toml で有効化でき、数週間のうちにAstraの既定になると述べている。
これは0.153.0の features.context_management.experimental_mode(既定オフ)に対応し、ChatGPTのPlus/Pro/Pro Liteでのサインインが条件で、APIキーセッションとカスタムプロバイダは対象外である。
なおCodexの変更履歴サイトには9月4日時点でAstra関連のエントリがなく、9月1日のChatGPT for iOSの更新のみである。
Codex CLI:0.151.0〜0.153.2の安定版6本、update_plan が既定オフ
Codex CLIは前号締め後の8月29日に0.151.0、対象週に0.152.0(9/1)、0.152.1(9/1)、0.153.0(9/3)、0.153.1(9/3)、0.153.2(9/3)を出し、alphaは17本だった。
0.151.0はオプショナルなMCPサーバーからのツール検出に猶予期間を設定でき、拡張機能がMCPツールの結果をモデルに届く前に検査・置換できるようにし、/cd がサンドボックス制限を弱めていた問題を直した。
0.152.0はプランニングツール update_plan を既定で無効にした(使うには tools.update_plan.enabled = true)。
MCPサーバー名での : @ / . の許容、MCPツール単位の output_token_limit、クラウドタスクが信頼できないバックエンドURLを拒否してリダイレクトを無効化する変更も含む。
0.153.0は前述の実験的コンテキスト管理のほか、plugin CLIのリモートマーケットプレイス対応、PlusとTeam向けに約5時間ウィンドウの割当が半分を切る前の早期警告を加え、Guardian(自動レビュー)はFull Accessで確認のみのアクションをスキップするよう調整された。
npmの latest は0.153.2、alpha は0.154.0-alpha.2である。
APIとインフラ:IPv6、エラーコードの分離、GPT-5.4系の終了
APIチェンジログでは、8月29日にMutual TLSとX.509 workload identity federationがGAになり、9月1日に api.openai.com がIPv6に対応、9月2日にエラー体系が更新されて急激なトラフィック増は 429 + slow_down、モデル過負荷は 503 + server_is_overloaded で区別できるようになった。
既報どおり、8月31日にChatGPTサインインのCodexでGPT-5.4とGPT-5.4 miniの提供が終わった(APIとAPIキー認証のセッションでは継続)。
ステータス:6件
公式ステータスの対象週の記録は6件である。 8月31日22:27 UTCから9月1日19:05 UTCまで約21時間にわたりResponses APIの遅延が記録され、8月31日にはChatGPT Workのエラーと遅延(15:04〜20:28 UTC)があった。 9月1日にFree/Goプランのチャットエラー、9月2日にアカウント作成エラー、9月3日にChatGPT Workモードのエラーと、Astra発表当日のChatGPTとCodex横断のエラー率上昇(14:58〜16:55 UTC、Codex Web/CLI/API/VS Code拡張が影響対象)が記録された。 原因はいずれも公表されていない。
Gemini(Google):Gemini 3.8 Flash GA、AntigravityはIDE 2本+CLI 3本
Gemini 3.8 Flash(9/2):導入価格$0.75/$3.75は12月31日まで
9月2日、Gemini APIチェンジログに gemini-3.8-flash のGAが掲載された。
「最も知的なFlashモデルで、長期ホライズンのソフトウェアエンジニアリング、自律エージェント、複雑なエンタープライズワークフロー向け」とされ、DeepMindのモデルカードはコンテキスト最大100万トークン、出力64Kトークンとしている。
価格は導入価格として入力$0.75/出力$3.75(100万トークンあたり)で、期限は2026年12月31日、2027年1月1日から標準価格の$1.50/$7.50に切り替わる(コンテキストキャッシュも同じ期限構造)。
thinking levelはlow/medium(既定)/highの3段階で、minimal は指定するとエラーになる。
公式ドキュメントは「長時間・複雑なタスクでは設計上トークンを多めに使う」と明記し、日常用途ではreasoning effortを下げるか、引き続き提供されるGemini 3.7 Flashを使う選択肢を案内している。
Managed Agentsの既定エージェント(Antigravity agent)とAntigravity SDKの既定モデルは3.8 Flashになったが、これはAntigravity IDEのモデルピッカーの既定値とは別の話である。
公式ブログは同日にGemini 3.8 Flash Cyberも発表した。 脆弱性検出と自動パッチ生成に特化したモデルで、提供はFairwind Program経由の政府機関・重要インフラ事業者向けに限定され、API価格表にも載っていない。 ブログ本文で確認できる数値は実世界の脆弱性発見で「70%超の成功率」までで、報道で流れている個別のベンチマーク値は図表内の値で本文テキストからは取れなかった。 対象週のモデル/APIの追加は他に、動画のタイムラインを動的に辿って長尺コンテンツで最大88%のトークン削減とされるAgentic video understanding(9/1、Gemini 3.7 Flashなど向け)と、音楽生成Lyria 3.5のpublic preview(9/3)がある。
Antigravity IDE:2.12.0(9/2)で引用と /boost、2.12.2(9/3)で3.8 FlashをADC経由で
Antigravity changelogによれば、2.12.0(9/2)は応答の一部を選択して次のプロンプトの文脈として引用する機能と、有料ユーザー向けの /boost(マルチエージェントの推論パイプラインでthinking effortを引き上げる)を追加した(改善7件、修正9件)。
2.12.2(9/3)は「EnterpriseがADC(Application Default Credentials)経由でGemini 3.8 Flashをエージェントタスクに選択・使用できる」の1件のみである。
Antigravityブログは9月1日付で3.8 Flashを「日常のワークホース」と位置づけ、8月31日のGoogleブログはマルチエージェント機能「Teamwork」で未解決問題7件の解決などを挙げている(ベンダーの自己報告)。
Antigravity CLI:1.1.23〜1.1.25、OSS版Gemini CLIはv0.58.0とセキュリティ修正
Antigravity CLIは1.1.23(9/1)、1.1.24(9/2)、1.1.25(9/3)の3本を出した。
1.1.23はOAuthトークンを失効5分前に先行リフレッシュしてクロックスキュー起因の認証エラーを避ける修正など修正13件・改善2件、1.1.24は mcp_config.json のコメントと末尾カンマの許容やヘッドレス実行時のハング修正を含む。
1.1.25は GEMINI_API_KEY 接続時のモデルカタログにGemini 3.8 Flashを追加し、/resume のワークスペース別グルーピング(オプトイン)、Markdown定義のカスタムエージェントが既定でアンビエントのskills/rules/subagentsを継承する変更、/boost の実行時失敗の修正を入れた。
OSS版Gemini CLIは9月1日(火曜、20:51 UTC)にv0.58.0安定版とv0.59.0-preview.0を公開し、週次サイクルを維持した。 v0.58.0はmacOS SeatbeltサンドボックスでDockerのソケットとバイナリを隔離する修正など保守中心で、v0.59.0-preview.0はMCP OAuthのメタデータ探索・認証でのSSRF防止と、restrictedモードでワークスペース信頼をfail-closedにする修正を含む。 リリース後のmainではMCP OAuthでのRFC 9207 issuer identificationの強制、chrome-devtools-mcpにハードコードされていたGoogle CrUX APIキーの除去が入った。 OSS版のリリースノートと既定モデル定義には9月4日時点でGemini 3.8 Flashの記載がなく、Antigravity CLIとは別ラインで動いている。
Code Assistとステータス
Gemini Code Assistは9月1日にIntelliJ 1.58.1(バグ修正のみ)が掲載され、VS Code版の新規エントリはない。 Google Cloudのステータスで対象週に記録されたインシデントは9月1日のus-central1-bのネットワーク劣化1件で、影響プロダクト一覧にGemini API、Vertex AI、Gemini Code Assistは含まれない。
Cursor(Anysphere):Self-hosted machines、モデル表にFable 5.1と3.8 Flash
Self-hosted machines(9/2):ツール実行を自社ネットワーク内に閉じる
9月2日、CursorはSelf-hosted machinesを公開した。 クラウドエージェントのツール実行を「完全に自社ネットワーク内」に置き、コードベース、ビルド成果物、シークレットを社内マシンに残したままエージェントにツールコールを処理させる構成である。 個人向けの「My Machines」(ノートPCやVMを1台接続)と、チーム/エンタープライズ向けの「Team pools」(名前付きのワーカーキュー)があり、プールはリポジトリに紐づかず、アイドルのマシンはハイバネートしてフォローアップが来たら再接続ウィンドウ内で復帰する。
クラウドエージェントはAWS Lambda、Coder、Cloudflare、Daytona、Modal、Namespace、Vercel、E2Bなど既存インフラ上でも実行でき、セルフホストのワーカーはLinuxとMacでcomputer use(クリック、入力、スクリーンショット、ブラウザ操作)に対応する。
仕組みはCursor CLIがCursorへアウトバウンドHTTPSを張り、その上をツールコールが流れる方式で、インバウンドの穴あけは不要である。
ドキュメントはパートナーガイドを「参照アーキテクチャ」とし、ワーカーイメージ、インフラ、シークレット、スケーリング、本番検証は利用者の責任と明記している。
8月26日のCLIリリース(永続セッション、--computer-use --share-desktop)が伏線で、対象週にCLIの新リリースはない。
同日のNokiaの事例はエンジニア2名・2週間で5,000万行超を解析したとする(顧客の自己報告)。
モデル表とプラン表の変化:Fable 5.1と3.8 Flashの追加、ドル枠の消滅は前週末までに
Models & Pricingのモデル表は、9月1日06:22 UTCのスナップショットと9月4日の現行版の比較で、Claude Fable 5.1(入力$10/キャッシュ書き込み$12.5/キャッシュ読み出し$0.25/出力$50、「Opus 5の約2倍」)とGemini 3.8 Flash(入力$0.75/キャッシュ読み出し$0.075/出力$3.5)が加わり、Claude Fable 5とGemini 3.7 Flashは「既定で非表示」になった。 GPT-6 Astraは9月4日時点で載っていない。 Cursorの表のGemini 3.8 Flashの出力単価はGoogle公式の$3.75と一致せず、どちらが正しいかは本記事では判断していない。
前号で追った「Auto課金の変更」の続報として、プラン表の変更が8月24日〜8月29日の間に着地していたことが3点のスナップショット比較で確認できた。 旧表にあった「Other Modelsの月額ドル枠」(Pro $20/Pro Plus $70/Ultra $400)と「毎月最低$20分のサードパーティモデル利用を含む」という定量表記は消え、「Included/Not included」の2値表記に変わっている。 Autoのモード名は「Cost/Balance/Intelligence」になり、Enterpriseだけに残る定額の「Legacy Enterprise Auto」は9月7日までである。 changelogやブログに対応する告知はなく、ドキュメントだけが更新された形で、いずれも対象週の出来事ではない。
ステータス:9件、9/3はAnthropicとOpenAIの上流障害が同日に
公式ステータスの対象週の記録は9件で、前週の6件より多い。 9月1日はComposer 2.5とGrok 4.5の劣化、9月2日はComposer 2.5とGrok 4.6 Fastを使うリクエストの失敗(00:48〜03:07 UTC)とAutomations/Cloud Agents/Review Agentsの起動失敗(14:50〜16:10 UTC)。 9月3日は全Grokモデル・Automations・Cloud Agents・Review Agentsの広域劣化(13:41〜17:07 UTC)、Anthropic上流によるFable 5.1/Fable 5/Opus 5/Opus 4.8/Opus 4.6のエラー(14:17〜16:31 UTC)、OpenAI上流によるエラー(15:17〜17:05 UTC)、Grok 4.6の劣化が重なり、9月4日はGrok Botのルーティントリガーの劣化である。 自社モデル系(Composer、Grok)の劣化が繰り返し記録されている点と、9月3日にAnthropicとOpenAIの上流障害が同日に重なった点は事実として記録できるが、原因は各社とも公表していない。
横断的に見える4つの傾向
1. 最上位モデルの値札が$10/$50に収斂し、差はキャッシュと長文の扱いに移った。 Claude Fable 5.1とGPT-6 Astraは入出力の単価が同額で、違いはキャッシュ読み出し($0.25対$1)と、Astraの272K超での倍率課金にある。 Gemini 3.8 Flashの$0.75/$3.75も12月31日までの導入価格で、2027年からは倍になる。 「単価」より「キャッシュ比率」「投入する文脈の長さ」「時限」がコストを決める構造が3社で揃った。
2. サイバー能力がモデルの提供形態を分ける基準になった。 Mythos 5.1は信頼済みアクセス限定、Fable 5.1は「発見は可、エクスプロイト開発は不可」、AstraはCritical閾値到達と概念実証エクスプロイトの拒否、3.8 Flash CyberはFairwind Program限定。 同じ週にAnthropicはEFSと分類器によるサンドボックス脱出の遮断、OpenAIはResponses APIのミスアライメント監視を出しており、「能力を上げた分だけ監視と限定を付ける」動きが各社で並行している。
3. 100万トークンの運用が「圧縮」から「ノートと検索」へ動き始めた。 Codexは実験的コンテキスト管理(ノート保持と過去文脈の検索)を数週間のうちにAstraの既定にすると明言し、Claude Codeは1Mコンテキスト向けの自動コンパクトを改善しキャッシュミスの原因表示を加え、Geminiは動画を動的に辿るAgentic video understandingで最大88%のトークン削減を掲げた。 コンテキストが広がった分、「何を残し何を取りに行くか」がツール側の設計課題になっている。
4. 実行環境の主権が顧客側へ寄った。
CursorのSelf-hosted machines、AnthropicのEFS(データは顧客管理のクラウド)、Claude Codeの managedMcpServers と --permission-prompts none、Codexのクラウドタスクによる信頼できないURLの拒否。
「ベンダーのクラウドで動かす」から「顧客のネットワーク内で、組織の設定に従って動かす」へ、選択肢が増えている。
まとめ:数字で見る9月第1週
- Claude Code:新モデル2(Fable 5.1、Mythos 5.1)、API破壊的変更3件+ベータ3件、本体リリース5本(2.1.252〜260、欠番4つ)+前号締め後1本(2.1.251)、npm stableは2.1.236、Anthropicの発表2件(EFS、アラインメント報告)、週次上限50%プロモの終了まで残り9日、公式ステータスのインシデント8件
- Codex:新モデル1(GPT-6 Astra、$10/$50、105万トークン)、安定版6本(0.151.0〜0.153.2)、alpha 17本、API側4件(mTLS GA、IPv6、エラーコード分離、Astra)、GPT-5.4系の提供終了を8/31に実施、公式ステータスのインシデント6件
- Gemini:新モデル2(Gemini 3.8 Flash GA、3.8 Flash Cyber限定提供)、モデル/APIの追加2件(Agentic video understanding、Lyria 3.5 preview)、Antigravity IDE 2本(2.12.0、2.12.2)、Antigravity CLI 3本(1.1.23〜1.1.25)、OSS版Gemini CLIは安定版1本+プレビュー1本、Code Assist 1件、Gemini関連のインシデント0件
- Cursor:チェンジログ1本(Self-hosted machines)、ブログ2本、モデル表の追加2件(Fable 5.1、Gemini 3.8 Flash)、CLIリリース0本、Legacy Enterprise Autoの終了まで残り3日、公式ステータスのインシデント9件
来週は、GPT-6 AstraのAPIと一般プランへの到達とCodex cloud対応、Cursorのモデル表へのAstra掲載、Claude Codeのnpm stableのFable 5.1対応、9月7日のLegacy Enterprise Auto終了、9月13日の週次上限プロモ終了と「25%恒久引き上げ」の一次情報、Gemini 3.8 FlashのOSS版Gemini CLI対応を追う。
調査の限界
エビデンス重視の立場から、本記事の確認範囲と留保を明示する。
- 調査時点は2026年9月4日10時15分(JST)で、それ以降の公開・追記(9月4日の米国時間帯のリリースを含む)は対象外となる
- バージョン日はUTC表記を採用したため、JSTでは翌日になるものがある(例:Claude Code 2.1.251はJSTでは8月29日早朝)
- 公開日と到達日は別物である。GPT-6 Astraは「まずTrusted Access Program、数日以内にAPIと各プラン」の段階展開中で、Claude Codeのnpm stableは2.1.236のままFable 5.1に対応していない
- Claude Codeの週次上限について一次情報で確認できたのは「50%プロモーションが9月13日で終わる」までで、「9月14日から標準上限を25%恒久引き上げ」「現在比17%減」は@ClaudeDevsのX投稿を出典とする報道に基づき、投稿本文は直接取得できていない
- Claude Codeの2.1.253〜2.1.256は公開リリースが存在せず、ドキュメントが参照する2.1.255の配布経路は不明である
- OpenAIの「Path to Astra」「Safety overview: GPT-6 Astra」「The Defender's Window」とヘルプセンターの「Model release notes」は取得時に403で本文を確認できていない。GPT-6 Astraの発表本文はWayback Machineの9月3日スナップショット経由で確認した
- Gemini 3.8 Flash Cyberの個別ベンチマーク値と、3.8 Flashのモデルカードのベンチマーク表は図表として埋め込まれており本文テキストから取得できていない
- CursorのGemini 3.8 Flashの出力単価はCursorの表($3.5)とGoogle公式($3.75)で一致せず、本記事では判断していない。Cursorのプラン表の変更(ドル枠の撤去)は8月24日〜8月29日の間に着地しており、日付の特定はできていない
- 「対象週の更新0」は公式ページに対象日付の新規記録がないことを指し、内部の変更が皆無だったことまでは意味しない。Claude Code公式の週次ダイジェスト(whats-new)は第35週・第36週とも未公開で、本記事はchangelogとGitHub Releasesを一次情報とした
- インシデント件数は公式フィード上の記録数で、障害時間の単純合計や全面停止の回数を意味しない。原因は各社非公表のものが多く、本文では推測していない
- Fable 5.1のコスト削減率、Astraのベンチマーク、Gemini 3.8 Flash Cyberの成功率、Nokiaの解析規模などの数値はいずれもベンダーまたは顧客の自己報告である
主要出典一覧
- Anthropic:Claude Fable 5.1/Mythos 5.1発表 / Platformリリースノート / Fable 5.1の変更点 / Claude Code changelog / GitHub Releases / モデル設定 / 週次上限プロモーション / EFS / アラインメントとセキュリティの取り組み / ステータスページ
- OpenAI:GPT-6 Astra発表 / APIチェンジログ / GPT-6 Astraモデルページ / API価格 / Codexモデル一覧 / Codex価格 / ChatGPT & Codex changelog / GitHub Releases / ステータスページ
- Google:Gemini API changelog / Gemini 3.8 Flashドキュメント / Gemini 3.8 Flash/3.8 Flash Cyber(ブログ) / モデルカード / Antigravity changelog / Antigravity CLI Releases / Gemini CLI Releases / Code Assistリリースノート
- Cursor:Self-hosted machines(changelog) / Self-hosted machines(ブログ) / Models & Pricing / ステータスページ
- 前号:AIコーディングエージェント週次アップデート:2026年8月第4週
(2026年9月4日10時15分JST時点の情報に基づく。 価格、提供条件、プロモーション期限、ステータス、リリースの反映状況は変更される可能性があるため、判断時には必ず一次情報を確認されたい。)
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