今週は、Cursorの契約体系変更、Gemini 4 Argonの一般提供、CodexでのGPT-5.5引退が重なった。 AnthropicはOpus 5.5 fast modeのAPI提供条件を広げたが、Claude Codeの説明とは差が残る。 モデル名や月額だけで比較すると、利用できる接続先、別途かかる料金、契約を維持できる期限を見落とす週だった。
調査の締めは2026年10月16日16時30分(JST)。 公式発表、製品ドキュメント、GitHub Releases、npmレジストリ、ステータスページを確認し、前号の締めである10月9日9時(JST)以降の更新も含めた。 日付は各社の表記を基本とし、締めや移行に関わる時刻はJSTを併記する。 障害の時間は、実際の影響期間が明記されていない場合、最初の報告から解消報告までの差である。
今週の全体像
Cursorを新規契約する場合、GrokとXを束ねた「The X Subscription」が提供される。 自社モデルの週次枠をGrokとCursorで共有し、Claudeなどの他社モデルは別途支払う構成になった。 既存契約者は旧プランを維持できるため、新旧の契約を分けて判断する必要がある。
GoogleのGemini 4 Argonは、入力、思考、出力の合計で約100万トークンを扱う。 導入価格には期限があり、12月から通常価格へ移る。 Gemini Code Assistの既存契約には、契約形態に応じた更新期限が示された。
OpenAIでは、ChatGPT認証で使うCodexからGPT-5.5が引退した。 次の指示候補を入力欄へ出すbeta機能も確認した。 Claude CodeとCodex CLIでは、長い作業の再開、中断、ツール実行に関わる修正が続いている。
Claude Code(Anthropic):Opus 5.5 fastのAPI提供が拡大、Code側の条件は別に確認
10月15日、Opus 5.5 fast modeがClaude APIで研究プレビューを終了した。 アクセス申請が不要になり、Start、Build、Scaleの各ティアに専用のレート制限が既定で付与されるが、Evaluationティアは上位ティアへの移行が必要である(Platformリリースノート)。
API価格は100万トークンあたり入力8ドル、出力40ドル。 Anthropicの「最大2.5倍」は出力トークンの速度比較であり、応答開始までの待ち時間を指す値ではない。 今回の研究プレビュー終了に伴う値下げは発表されていない(API fast mode)。
一方、Claude Codeのドキュメントはfast modeを引き続き研究プレビューと記す。 Pro、Max、Team、Enterpriseでは定額の利用枠に含まれず、usage creditsで支払う。 TeamとEnterpriseではOwnerによる有効化も必要である(Claude Codeのfast mode)。
接続先にも説明の差がある。 API文書はAzureホストのMicrosoft Foundryに対応したとするが、Claude Code文書はFoundry非対応のままである。 文書の更新時差か製品ごとの違いかは確認できず、APIの提供拡大をClaude Codeの全接続先へ広げて解釈できない。
Claude Codeの正式リリースは2.1.296、2.1.299、2.1.300、2.1.301の4本だった。 2.1.296は前号締め後の公開で、連番の間にある2版は公開一覧に見当たらないため本数に含めていない(GitHub Releases)。
2.1.299は、再開直後にメッセージを受け取ると承認済みツールを二重実行しうる問題を修正した。 2.1.300は、非対話実行やAgent SDKで再開したときに会話の要約や直近の履歴を失う問題を直している(2.1.299、2.1.300)。 2.1.301では、未pushのコミットが残りうる作業用ディレクトリを終了時に確認せず削除する問題などを修正した(2.1.301)。
更新で入った不具合を指す「リグレッション」を明記した版は、4本中3本である。 10月16日の確認時点でnpmのlatestは2.1.301、stableは2.1.292だった。 正式リリースの最新と、stableチャネルが配る版は一致しない(npmレジストリ)。
公式ステータスで今週新しく発生した障害は0件だった。 10月13日に解消報告が出た利用量表示の障害は10月7日からの継続案件で、APIリクエストへの影響はないと明記されている。 解消報告の日付を発生日として数えていない(障害記録)。
Codex(OpenAI):GPT-5.5引退の対象はChatGPT認証、次の指示候補をbeta提供
GPT-5.5は10月14日正午PDT、JSTでは10月15日4時に、ChatGPTでサインインして使うCodexから引退した。 OpenAI APIとAPIキー認証のCodexは対象外である(モデルの提供条件)。
Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduでは、利用可能ならGPT-6.1 Solへ移行する。 EnterpriseとEduは管理者によるモデルの有効化が必要で、保存済みの既定モデルを変更するだけでは利用権は付かない。 カスタムagentや定期タスクにGPT-5.5の指定を残している場合も確認対象になる(管理者向け移行案内)。
前号締め後に確認した10月9日付の「Composer predictions」は、回答後に次のプロンプト候補を入力欄へ出すbeta機能である。 候補はTabで受け入れてから編集でき、自動送信されない(Codex changelog)。 対象は対応地域の18歳以上の個人ChatGPT Pro利用者で、デスクトップのlocalまたはSSHスレッドと、GPT-6 Astra、GPT-6.1 Solの組み合わせに限られる。 候補の生成は利用枠やクレジットを消費しないが、候補を送信して作業を始めると通常の利用枠と課金が適用される(Composer predictions)。
Codex CLIの安定版は0.162.1と0.163.0の2本、アルファ版は9本だった。 前号締め後の0.162.1は、複数行の質問によるクラッシュなどを修正した(0.162.1)。 10月16日朝(JST)公開の0.163.0では、応答中の追加指示ですぐに方向を修正でき、中断時には入れ子になったツール実行も停止する。 独立した読み取り専用ツールの並列実行も入り、スキルや会話履歴の参照などが対象になる(0.163.0)。
同版はサイバーセキュリティ向けDaybreakを、利用権のあるアカウントで既定有効にした。 前号の明示的なオプトインから既定値は変わったが、承認や利用権の条件は残るため、一般利用者全員への開放を意味しない。 両安定版のリリース要約に、リグレッション修正と明記された項目はない。
APIでは10月14日、GPT-4o、4o mini、4.1、4.1 miniの指定されたスナップショットを2027年1月14日に停止する告知が加わった。 ファインチューニングした版も基盤モデルと同じ終了日になる(API廃止予定)。 従来から告知されている10月23日の停止は、旧GPT-4系やo1系など別の対象である。 「GPT-4系が一斉に10月23日に止まる」とまとめず、実際に指定しているモデルと停止日を照合したい。
Codexを名前か影響範囲に含む公式障害は2件だった。 10月13日のGPT-6.1 Sol性能低下は、最初の報告から解消報告まで8時間26分、10月14日のCodexとChatGPT Workの性能低下は2時間48分だった。 いずれも実際の全顧客への影響時間や根本原因は公表されていない(10月13日の障害、10月14日の障害)。
Gemini(Google):ArgonがGA、導入価格とCode Assistの契約期限に注意
10月13日、Gemini 4 Argonが一般提供(GA)となり、Gemini APIとGoogle AI Studioなどで使えるようになった。 コンテキスト上限は入力、思考、出力を合算して1,048,576トークンである(API changelog、モデル仕様)。
導入価格は11月30日まで、100万トークンあたり入力2ドル、思考を含む出力10ドル。 12月1日からは入力4ドル、出力20ドルになる。 無料ティアとGoogle AI Proプランでは利用できず、明示的キャッシュにも対応しないため、既存処理から移す場合は価格以外の互換性も確認が必要である(価格と移行条件)。
Gemini Code Assist StandardとEnterpriseは10月9日に新規販売を終了した。 既存契約は契約満了まで利用とサポートが続き、ライセンス追加と年契約の自動更新は2027年1月31日まで、月契約の自動更新は2027年12月31日まで可能である(契約終了の詳細)。 これらは追加や更新を受け付ける期限であり、全利用者が同じ日に停止するという案内ではない。 10月13日更新の詳細ページで、概要のリリースノートより具体的な条件を確認できた。
Antigravity CLI(旧Gemini CLI)は対象期間に5本の正式版を出した。 1.3.5のAuto modeは編集や安全なコマンドを自動承認し、不可逆な操作には確認を求める構成で、LinuxとmacOSに対応する。 1.3.6では、Google Cloud側の利用権を条件にOpus 5.5とSonnet 5.5を使えるようになった(1.3.5、1.3.6)。
Antigravityのデスクトップは2本を公開し、権限プリセットを入力欄で選ぶ画面などを加えた(changelog)。 OSS版Gemini CLIも安定版v0.64.0を公開し、ファイル操作の競合や状態破損からの回復を修正している(v0.64.0)。 Code Assistの契約終了を、OSS版Gemini CLIの開発終了と読み替えることはできない。
Cursor(Anysphere):新規契約はXとの統合プラン、他社モデルは別課金
10月12日、Grok、Cursor、Xを束ねる「The X Subscription」が発表された。 新規契約向けに同日から提供が始まり、数日かけて世界へ展開するという案内で、既存契約者への切り替え機能は段階的に表示される(公式発表、Cursor公式告知)。
個人向けの月払い税抜価格はPlusが8ドル、Premiumが30ドル、Superが100ドル、Ultraが200ドル。 TeamsはPremium、Super、Ultraがそれぞれ1席あたり月30ドル、100ドル、200ドルで、Plusはなく、Enterpriseは個別契約である(統合プランの料金)。
新プランでは、Grok系とComposer 2.5など自社モデルの1つの週次枠をGrokとCursorで共有する。 旧プランの自社モデル用と他社モデル用の2つの月次枠から、集計期間と共有範囲が変わった。 Teamsの週次枠は席ごとに独立し、席間では共有しない(利用枠)。
Plusでは他社モデル、持ち込みAPIキー、Auto、Cloud Agentsなどを使えない。 Premium以上でClaude、GPT、Geminiを使う場合は、最初の利用からAPI定価で別課金され、前払いクレジットから引かれる。 TeamsとEnterpriseは、他社モデルに100万トークンあたり0.25ドルのCursor Token Rateも加わる(Cursorのモデルと料金)。
既存契約者は、切り替えるか解約するまで旧プランの価格と機能を維持できる。 旧プラン間の変更やチームの席追加も継続できる。 統合プランへ移行すると旧契約へ戻せない。 切り替え時には対象の旧契約が解約され、未利用期間が日割りで返金されて、新しい請求期間が始まる(旧プラン、切り替え条件)。
旧Ultraと新Ultraは月200ドルで同額だが、他社モデルの利用枠を含む条件は同じではない。 Claudeなどの利用が多い場合、月額だけを揃えて移行すると総費用の比較を誤る。 使用モデル別の実績から、週次枠の消費と他社モデルの追加費用を分けて見積もる必要がある。
機能面では10月13日、コードホスティングのOriginにApp Marketplaceが加わり、20超のアプリと外部開発チームからの公開申請を案内した。 Originはearly betaとして提供されている(製品changelog)。 モデル料金表にはGemini 4 Argonも加わったが、掲載日時は特定できていない。
ステータスページの障害記録は6件で、前号締め後の10月9日UTCの2件を含む。 最長はGrokモデルの容量エラー増加で、10月15日22時25分から16日5時20分(UTC)の報告間隔は6時間55分だった(障害履歴)。 10月13日のGrok Botではイベントからの起動が実行されず、影響期間内のイベントを自動再試行しないと公式が明記した。 該当する処理は、サービスの復旧とは別に送り直しが必要になる(イベント実行の障害)。
横断的に見える3つの傾向
1. 月額とモデル単価を分けて総費用を比べる
Cursorの他社モデル利用、Claude Codeのfast modeは、月額の定額枠だけで完結しない。 Argonには導入価格の期限があり、思考も出力として課金される。 費用比較では、契約料金に含まれる範囲、従量課金、価格が変わる日を揃える必要がある。
2. 移行対象は認証方法と契約単位で決まる
GPT-5.5の引退はChatGPT認証に限られ、Code Assistの更新期限は月契約と年契約で異なる。 Cursorは既存契約を維持できるが、新プランへの移行は取り消せない。 組織全体の一律切り替えを決める前に、対象アカウントの認証方法、契約期間、管理者の有効化条件を確認する順序になる。
3. 実行を止める挙動と再開後の状態も更新判断に含める
Codex CLIは中断時の停止範囲を広げ、Claude Codeは再開時の二重実行や履歴消失を修正した。 Antigravity CLIは承認を自動化する対象を増やした。 機能の追加だけでなく、作業の途中で止めた場合と再開した場合の挙動を確かめることが、長い自動実行を更新する判断材料になる。
数字で見る10月第3週
| 観測対象 | 対象期間の記録 |
|---|---|
| Claude Code | 正式版4本。リグレッション修正明記は3本。npm latestは2.1.301、stableは2.1.292 |
| Codex | CLI安定版2本、アルファ9本。製品changelogは2件 |
| Gemini | ArgonがGA。Antigravity CLI正式版5本、デスクトップ2本、OSS版Gemini CLI安定版1本 |
| Cursor | 製品changelog 1件。別途、統合プランの発表1件 |
| 公式障害記録 | Claudeは新規0件と前週からの解消1件。Codex関連2件、Cursor 6件 |
前号から追っている予定では、Claudeの利用枠リセット権が10月22日まで、Claude Sonnet 4.5のAPI提供は11月30日に終了する。 今回も確認したOpenAI APIの旧モデル群は10月23日に停止予定である。 11月30日にはArgonの導入価格も終了する。
調査の限界
Claude CodeとAPIのfast mode文書の差、Antigravity CLIとOSS版Gemini CLIの公式な位置づけは解消できていない。 Composer predictionsの10月9日の告知時刻、npm stableタグの移動日時、CursorのArgon料金掲載日時も特定できていない。 Cursorのアカウント別の移行特典は条件と期限を公開情報だけで確認できず、比較に含めなかった。
障害は各社が公開するタイトルや影響範囲で数え、Codexの記載がないOpenAIのログイン障害などは除外した。 報告単位と対象サービスが異なるため、件数や報告間隔を各社の稼働率比較に使うことはできない。 原因は公式に説明された範囲に限り、契約変更やリリースとの因果関係を推測していない。
主要出典一覧
- Anthropic:Claude Code更新、Platform更新、API fast mode
- OpenAI:Codex更新、CLIリリース、API廃止予定
- Google:API更新、Argon仕様、Code Assist契約終了
- Cursor:統合プラン発表、モデル料金、移行条件
- 障害記録:Claude、OpenAI、Cursor
(2026年10月16日16時30分(JST)時点の情報に基づく。価格、提供条件、期限は変更されることがある。)
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