今週は、権限管理の修正と利用枠や提供条件の変更が目立った。 新モデルではOpenAIのImages 2.6とGPT-6 Cyber、GoogleのGemini Omni 1.2 Flashが発表された。 Cursorはアプリ公開機能を追加する一方、拡張マーケットプレイスに偽のClaude Code拡張が混入した件を公表した。
調査の締めは2026年11月7日16時24分(JST)。 公式発表、製品ドキュメント、GitHub Releases、npmレジストリ、ステータスページ、公式メール、Wayback Machineの保存版を参照した。 見出しの対象週は11月2〜6日だが、集計期間は前号の締めである10月30日2時40分(JST)から今回の締めまでとする。 時刻をJSTに換算できたものは明記し、それ以外の日付は公式ページの表記に従う。 障害の時間は公表された影響時間を優先し、明記がない場合は最初の報告から解消報告までの差とする。 原因は公式が説明した範囲に限る。
今週の全体像
Claude CodeとAntigravity CLIは権限管理を修正し、Codex CLIは管理ポリシーで指定したコマンドに人の承認を必須とする実験的機能を追加した。 月額プランの利用枠に加え、モデルの従量単価や課金対象にも変更があった。 障害件数は各社で集計対象が異なるため、件数だけでコーディングエージェントの信頼性は比較できない。
Claude Code(Anthropic)のUltraプランと権限修正
Claude CodeのGitHub Releases上の正式版は、2.1.314、2.1.316、2.1.317、2.1.318、2.1.319の5本だった。 npmだけに公開された2.1.315を含めると6本になる(GitHub Releases)。 2.1.314は前号締め後の10月30日(JST)公開で、ファイル編集ツールによる作業ディレクトリ外への書き込みを、すべての権限モードで拒否できる設定を追加した。 管理サーバーに到達できないときにポリシーなしで起動し得た不具合も修正した(2.1.314)。 2.1.316は10月31日公開で、Opus 4.8のfast modeを10月30日付で廃止予告し、11月30日に削除するとした(2.1.316)。 削除後もfast modeを指定するとエラーになる。 fast modeをオフにすればOpus 4.8を標準速度で継続でき、高速動作を続ける場合はOpus 5.5へ切り替える(fast modeの移行案内)。
11月4日公開の2.1.318は、2.1.314以降で不正なツール呼び出しの再試行を使い切った後、会話再開時に履歴を失う不具合を修正した(2.1.318)。
2.1.319はnpmに11月6日、GitHubに11月7日2時4分(JST)に公開され、Bashの権限バイパス、worktree作成時のサンドボックス脱出、sedの権限チェック漏れなどを修正した(2.1.319)。 これらの修正に対応するSecurity Advisoryと、影響版の範囲や深刻度は確認できなかった。 テレメトリまたはfeature flagsを無効にした環境では、auto modeがサーバー側で確認できない呼び出しを確認待ちまたは拒否にするようになった。 一部のLLMゲートウェイ経由の利用も含むが、Bedrock、Vertex、Foundryはこの変更の対象外である。
プランは「Max 20x」が月200ドルの「Ultra」に改称された(料金、Ultraプラン)。 Maxは月100ドルでProの5倍の1種類になり、Ultraは週あたりProの10倍で、検証済みアカウントには5時間上限がない。 既存のMax 20x契約者は価格据え置きで自動移行する。 料金ページとサポート記事で確認した変更で、独立した公式発表は今回の調査では見つからなかった。
公式障害記録は期間内の初報が0件だった(status.claude.com)。
Codex(OpenAI)の利用枠倍増とクラウド経路
Codex CLIの安定版は0.166.0と0.167.0の2本だった。 10月30日(JST)公開の0.166.0は、GPT-6.1 TerraをVertex AIとAmazon Bedrockのモデルカタログに追加した(0.166.0)。 11月6日公開の0.167.0はサインイン時のクラウドプロバイダ選択などを追加し、管理ポリシーで指定したコマンドに人の承認を必須とする実験的機能を導入した(0.167.0)。
OpenAIのAPIドキュメントに「OpenAI on Google Cloud」のガイドが出た(ガイド)。 private previewで、対象はGPT-6 Luna、GPT-6.1 Sol、GPT-6.1 Terra、GPT-6 Astraの4モデル、一般提供の時期は未発表である。
ChatGPTの更新履歴の10月29日付の項目で、Pro 100とPro 500のWorkとCodexの利用枠が従来の2倍になった(ChatGPT更新履歴)。 Pro 200は削減を撤回し、低い枠だった契約者を2倍にして既存の高い枠にそろえる。 すでに高い枠だった契約者の上限は維持される。 Business Premiumも増枠の対象だが倍率は書かれていない。 ヘルプセンターは、12月からPlus、Pro、Businessの利用枠をChatGPTとCodexで共通にすると説明している(利用枠の説明)。 トークン単位で測り、Instantのチャットは枠を消費せず、残量は設定画面で確認できるようになる。 Instant以外のチャットで共通枠を多く使うと、Codexに回せる残量が減る可能性がある。 ただし配分の詳細は未公表で、OpenAIは多くのユーザーではリセット待ちが増えないと見込んでいる。 料金ページ本体は変わっておらず、GPT-5.6 Solの販促価格は少なくとも11月21日まで続く(Codex料金)。
11月4日にはImages 2.6をChatGPTとCodexの全サブスクリプション階層へ提供し、11月5日にはGPT-6 Cyberを承認済みのDaybreak Red顧客の一部へ限定提供した(API更新履歴、Images 2.6、GPT-6 Cyber)。 11月4日に公表したPierre Computer Companyの買収は、規制承認などが完了条件となる。 TreesとDiffsはすでにCodexアプリに採用されており、完了後はCode Storageの機能も取り込む方針だ(Pierre買収)。 障害は期間内に6件で、Codexを含むのは11月6日0時25分(JST)初報の1件だった。 Codex Webの劣化表示から正常表示への更新までは約31分で、実際の影響時間とは区別する(個別障害記録)。
Gemini(Google)の2.5 ProとFlashの自動振り替え
Gemini APIでは11月2日にgemini-2.5-proとgemini-2.5-flashが非推奨になった(Gemini API更新履歴)。 12月1日から、2.5 Proへのリクエストは3.8 Flashへ、2.5 Flashは3.5 Flash-Liteへ自動で振り替えられ、課金も振り替え先の単価になる。 2.5 Flash-Liteは今回の非推奨化の対象外である(非推奨モデル一覧)。 関数呼び出しや思考設定に破壊的変更があるため、従来の設定を残したコードでは振り替え後にエラーになる可能性がある。 11月5日にはGemini Omni 1.2 Flashが一般提供になった。 動画出力は100万トークンあたり12.00ドルで、従来のOmni 1.1 Flashの17.50ドルより安い(API価格)。
Antigravityでは、Claude Sonnet 4.6、Claude Opus 4.6、GPT-OSS-120bの削除日が11月2日から11月18日に延びた(モデル一覧)。 前号で伝えた削除予定日から更新があった。 保存版の比較では記載変更は11月2〜5日(JST)の間で、正確な変更時刻と延期理由は確認できない。
Antigravity CLIの正式版は5本で、前号締め後に1.4.11と1.4.12、週内に1.5.0から1.5.2が出た(Antigravity CLI Releases)。 1.5.0は11月4日公開で、エディタからエージェントとして呼べるACPサーバーと、会話をクラウド側で実行するリモートエージェントを追加した。 タイムアウトを指定しないヘッドレス実行で、バックグラウンド処理を30分で打ち切って成功終了する挙動をやめた。 指定したタイムアウトで切れた場合は、失敗の終了コードを返す。 CIで回しているジョブはタイムアウトと終了コードの扱いを見直す必要がある。 1.5.2は11月6日公開で、権限確認を省略するフラグを付けてもシステムの拒否リストにあるコマンドを拒否するようになった。 ヘッドレス実行では、Gemini Enterprise管理者がレビュー必須にしたターミナル操作や作業領域外へのファイルアクセスも拒否する。 1.5.1と1.5.2では、プラグイン経由でトークンが漏れる経路と、設定ファイルを上書きし得るプラグイン名を塞いだ。 Antigravity Appは11月3日付のv2.29.0で、音声モードと、Google AI UltraおよびPro向けのリモートエージェントの段階提供を始めた(Antigravity更新履歴)。
Gemini Enterpriseは11月6日に、既存のStandardとPlus契約に付いていたGemini Code Assistの利用権を2027年3月31日で終えると告知した(Gemini Enterprise更新履歴)。 それまでのCode AssistのサポートはGemini 3.x系に限られ、Googleは移行先としてAntigravityを案内している(移行案内)。 OSS版gemini-cliはv0.67.0が11月5日(木、JST)に出た。 preview版のREADMEは企業向けのCode Assist利用を中心とし、Gemini 4以降には最適化しないと説明している(gemini-cli Releases、preview版README)。 Google CloudのGemini on Agent Platform、Model Garden、Gemini Enterprise、Code Assistの4製品で、期間内初報の障害報告は0件だった(Google Cloud障害一覧)。
Cursor(SpaceX傘下)のアプリ公開機能と偽拡張の告知
Cursorは11月5日付の更新履歴で、Cloud Agentsがアプリを作り、ホスティングや必要に応じたPostgres、認証を用意して公開する機能を発表した(Build Live Apps)。 対象はCloud Agentsを使える有料プランで、Plusは含まれない。 アプリ作成時のエージェント利用は選択モデルの料金で計上されるが、ホスティングとデータベース固有の料金や課金単位は確認できなかった(Cloud Agentsの課金)。 ホスティングはサービスの一部に含まれず、現状のまま提供されるという免責がある(Appsドキュメント)。 TeamsとEnterpriseでは一般公開が既定でオフだが、個人プランは認証なしで一般公開できるため、社員の個人契約からの持ち出し経路になり得る。 11月6日付の更新履歴では、Grok Voiceを使う双方向の音声通話も追加された。 コードを書くエージェントは選択したモデルを使い続ける(Voice Chat、モデルの分担)。
料金ドキュメントでは、TeamsとEnterpriseでサードパーティモデルに上乗せするCursor Token Rateの除外条件が、15モデルの一覧から「全料金帯でキャッシュ読み取り単価が100万トークンあたり0.10ドル未満」というルールに変わった(モデルと料金)。 現行価格表で新たに免除対象となることを確認できたのはDeepSeek V4.1 Flash 1017で、Claude Sonnet 5.5はちょうど0.10ドルのため免除されない。 独立した変更告知と、課金への適用開始日は確認できなかった。
セキュリティ告知が1件出た。 10月29日18時27分から30日5時35分(JST)の間、Cursorの拡張マーケットプレイスで、WindowsとmacOS向けのClaude Code拡張を改変した偽版(2.1.312と2.1.313)が配布された(セキュリティ告知)。 偽版はSSHの裏口を永続化しようとするもので、Cursorはマーケットプレイスを全停止し、鍵を更新して再構築した。 拡張の削除だけでは不十分な場合があり、公式は不正なSSH鍵の確認、影響端末の隔離、資格情報の更新などを案内している。 影響は公式X投稿で最大5,000ユーザーとされている。 公式障害記録のCursor系は11件で、10月30日6時38分初報のVS Code拡張の劣化(約9時間34分)を含む。 初報は偽拡張の配布終了後であり、両者の関係は公式記録では説明されていない(status.x.ai)。 11月2日以降の6件の最長は約1時間17分で、うち4件はGrok Botを含んだ。
導入判断で分けて確認したい3点
1. 権限修正と承認ルールの適用条件
Claude CodeとAntigravity CLIの権限修正は、無人実行時の確認待ちや拒否、終了コードにも影響する。 更新時には自社の設定が適用条件に当たるかを確かめたい。 Codexの人による承認機能は、管理ルールと対応クライアントが条件である。 導入したルールに一致する操作は、対応クライアントが接続していなければ拒否される(実験的な承認機能)。
2. 拡張とプラグインの配布経路
Cursorのマーケットプレイスに偽のClaude Code拡張が約11時間載った。 Antigravity CLIでもプラグインに関する修正が続いた。 エージェントの拡張を社員が自由に入れられる状態なら、配布元の検証と拒否リストの運用を誰が持つかを決めたい。
3. 利用枠と課金対象の変更
AnthropicのUltraは旧Max 20xとは集計期間が異なるため、倍率だけでは利用量の増減を判断できない。 OpenAIの共通枠にはInstantの除外があり、Googleの自動振り替えとCursorの加算料金免除にも対象モデルの条件がある。 定額内で使える量の変化と従量料金の変化は分けて確認したい。 11月の使用量と費用を記録しておくと、変更後の差を追いやすい。
数字で見る11月第1週
| 項目 | 値 |
|---|---|
| Claude Code 正式リリース | GitHub Releasesに5本。npmのみの2.1.315を含めると6本 |
| Codex CLI 安定版 | 2本(0.166.0、0.167.0) |
| Antigravity CLI 正式版 | 5本(1.4.11〜1.5.2) |
| Cursor 更新履歴の新規 | 2件(Build Live Apps、Voice Chat) |
| 公式障害記録(期間内初報) | Anthropic 0件、OpenAI 6件(Codex関連1件)、Google Cloudの対象4製品 0件、Cursor系 11件 |
| Cursor 偽拡張の配布時間 | 約11時間、最大5,000ユーザー(X投稿) |
| Omni動画出力のモデル間比較 | 1.1 Flash:17.50ドル、1.2 Flash:12.00ドル(100万トークンあたり) |
今後の期限は次のとおり。
| 期限 | 内容 |
|---|---|
| 11月11日 5時(JST) | Claude Desktopのサードパーティ構成で、ホーム設定未指定時にUnified Claudeへ切り替え(更新履歴) |
| 11月18日 | AntigravityからClaude 4.6系とGPT-OSS-120bを削除 |
| 11月21日 | GPT-5.6 Solの販促価格(少なくともこの日まで) |
| 11月24日より前には廃止しない | Claude Opus 4.5。廃止日は未発表(モデル廃止予定) |
| 11月30日 | Opus 4.8 fast mode削除、Sonnet 4.5 API終了(Anthropic運営基盤)、Gemini 4 Argon導入価格終了(モデル廃止予定、Gemini API価格) |
| 12月1日 | Gemini 2.5 ProとFlashの自動振り替え開始 |
| 12月3日 | Gemini Omni 1.1 FlashへのAPIリクエストを1.2 Flashへ自動振り替えし、1.2の単価で課金 |
| 12月 | ChatGPTとCodexの利用枠共通化(Plus、Pro、Business) |
| 2027年3月31日 | Gemini Enterprise同梱のCode Assist利用権終了 |
調査の限界
Ultraへの改定、Antigravityの削除日延期、Cursor Token Rateのルール変更は、公式ページとWayback Machineの保存版で確認した。 保存時刻は変更の実施時刻そのものではなく、独立した発表も今回の調査では見つからなかった。 Claude Code 2.1.319の当該修正の深刻度と影響版、Cursorのホスティングとデータベースの料金、公開規約本文は確認できなかった。 OpenAIの発表とヘルプセンターは直接取得できず、公式ページの保存版を参照した。 ChatGPT更新履歴の11月4日以降の追記と、Gemini Developer APIやAntigravityの障害の有無は未確認である。
主要出典一覧
- Anthropic:Claude Code Releases、npm、料金、Ultraプラン、Desktop更新履歴
- OpenAI:CLIリリース、API更新履歴、Codex料金、ChatGPT更新履歴、利用枠の説明、OpenAI on Google Cloud、Pierre買収
- Google:Gemini API更新履歴、API価格、Antigravityモデル一覧、Antigravity CLI Releases、Antigravity更新履歴、音声モード、Gemini Enterprise更新履歴、gemini-cli Releases
- Cursor:Build Live Apps、Appsドキュメント、Voice Chat、モデルと料金、セキュリティ告知、SpaceX傘下への移行
- 障害記録:Claude、OpenAI、Cursor(status.x.ai)、Google Cloud
(2026年11月7日16時24分(JST)までに取得した情報に基づく。価格、提供条件、期限は変更されることがある。)
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